「ニセ科学批判でヒトは死ぬ」って言い出すさ

ニセ科学でヒトは死ぬ
http://d.hatena.ne.jp/tikani_nemuru_M/20090221/1235152054

………よし、できるだけ分かりやすくいこう。乱文は申し訳ないけど、id:tikani_nemuru_Mも、ゆっくり読めば分かると思うからカンベンしておくれ。

例えばだ。「米国のとある州で、ニセ科学批判が広まったため、神のすごい力で病を治す代替医療(CAM)が病院の紹介する治療法から排除され、それを受ければ助かったかもしれない患者が死んだ。ニセ科学批判者は、そのCAMの成果について十分な情報を持ちながら、自らの思想信条のためにこれを妨害した。未必の故意で、殺人者だといってもいい。このヤロー」っていう主張もあり得る訳だ。

CAMの紹介に重点を置いた、米国の医療アクセス法案(AMTA)てものもあったらしい。この法案が現在どうなっているのか分からないから、親族の医師に聞いてみるけど…。【追記】2009/02/24 チクショー。それにしても医師が雁首そろえて、どうして誰もAMTAが廃案になったか一部でも実現したのか、その後NIIの動向はどうなったのか突っ込まないんだよ!こいつらメンドクサがりにも程がある。遊びなら真剣にやれよ。親族に聞いたら「ごめんぜんぜんわかんない、それいつの話?」とかいわれた。お前、総合医だろうが!!!…って医師が誰でも外国の医療政策に詳しいなんて訳ないじゃんなぁ。そうだけど英語読むのめんどくさいよう。そのAMTAにからんで、こんな話題を見つけた。


http://square.umin.ac.jp/dik/1202.txt
条文より:
「患者は、インフォームドコンセントに基づき、医師など健康管理実践者
 から自由に治療を受けていいが、副作用等はすべて自己責任である」

しかし現実的には、患者が本当に自己責任を負うことにはならない。
患者はまず、治療法を選択するためにホームドクターに訊く。
それに答えないだけで、訴えられるだけの充分な理由になる。
「あのときこの治療法を勧めてくれなかったせいで、今こんな被害に・・」
患者をキープするためにも、今、アメリカの医師たちは必死でAlternative
Medicineを勉強している。
アメリカの医師の恐れるもの: 離婚・訴訟で身ぐるみはがれること。)

大学病院医療情報ネットワークのサーバー上にあり、署名は東大 生体防御機能学講座 丁宗鐵助教授とある。
CAMをめぐって同じような空想をした人は前にもいたようだ。

さて日本でも頑迷固陋な「ニセ科学批判」が効果のあるCAMを妨害しているという主張は、幾つも出ている。都内の新興キリスト教系病院の医師がそんなこと言っているのを見かける。個人的にはクセのある意見だと思うが、しかしその病院に通っている患者に対する影響力は想像に難くない。

米国から日本へCAMは浸透しており、それを踏まえたうえで「ニセ科学批判でヒトは死なない」と豪語しているなら尊敬するが。実際のところCAMの浸透が進み「ニセ科学」として挙げた治療法によって「ヒトが助かった」事例を山ほど積み上げられた場合に、どのように戦うつもりなのか不安だ。

ま、これも「意味が分からないよう」で片づけられれば、それまでなんだけどね。

田母神元空幕長の問題も同根だが。相手が一定の支持者を獲得してしまったら、もうちんけなブログ上の批判だけではどうしようもないのだ。それを本気で防ぎたいなら、適切な戦い方をしなくてはならない。大上段に言葉を振り回すなら、その前に十分に吟味しなければならない。

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蛇足。

ここからは「意味分からないよう」と言われても、構わないことにしよう。そうそう相手の読解力に合わせる必要もないしね。

この問題は、CAMの浸透に対し近代医学の優位を守る「防衛戦」になる。もちろん行政は「綺麗なCAM」と「汚いCAM」に分けて、少しずつCAMを受け入れていかざるをえないから、一種の撤退戦ともいえる。ただし最も綺麗なCAMといっていい鍼灸や漢方も根本からしてスピリチュアルなものがあり、結局はほかのうぞうむぞうのCAMがあとに続くための道を開くことになる。

かつて近代医学が駆逐した伝統医療や民間医療が、科学の飾り付けをして復活し、今や攻守は逆転した。揺り返し、反動ともいえるが、注意しなければならないのは、「西洋医学の限界」「近代医療制度の行き詰まり」への処方箋として、CAMを一種の改革と位置付けようとする姿勢だ。