切り離しではなく増幅

バブルは政治の問題
http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20081106/p1


しかし、近年、ファンダメンタルズと金融商品の値付けを切り離す方向での規制緩和が進められてきました、たとえば「証券化」などですが、これはきわめて重大な問題だったわけです。

市場関係者は常に、「ファンダメンタルズ」(日本語使えばいいのに)を見ており、それが価格の上げ下げに影響しないことはない。サブプライムローン証券化商品についても、価格急落の引き金は、住宅の過剰供給が明らかになり、実需による住宅価格の値上がりが期待できないと分かったことで起きた。占い師が、なにを判じるにしても、星の動きや波のうねりといった、実際の現象を手がかりにするのと同じことだ。

ただ、その際の価格の振れがより劇的になり、破壊的な効果を及ぼすようになったのが証券化商品の特徴だ。
「切り離す」という言葉の意味をより特殊に使っているなら別だが。

どんなに言葉を巧みにしても、金融経済は実体経済の影に過ぎない。そして実体経済そのものの悪化を誤魔化すために、バブルをあえて起した、というグリーンスパンの基本政策を理解するうえで、この事は重要だ。


そこで生じていることはバブルでしかなく、そこでなされている活動になんの社会的意義もないとしても、とにかく、そこは儲けることができるカジノではあるわけです。

社会的意義は、ある。それは米国の不景気を「遅らせた」のだ。その代わり変化を劇的にしたが。
グリーンスパン国益を考えて行動したのだし、バクチ打ちどもをあそばせたのはそのためだ。
ウォールストリートから巨額の資金が政府に流れていたとしても、グリーンスパンにこの金融資本主義を選択させたのは業界の利権ではなく、あまねく米国を救おうとする意志であって、それを止めれば、米国は没落してしまう。そしてやはり米国民は苦しむのだ。

実のところ、日本をはじめとするアジアの工業国も、中東などの資源産出国も、この巨大な詐欺を甘んじて受け入れた。むしろそれに乗った。金融資本主義は、単に金融商品の上げ下げで儲けた連中ばかりではなく、「世界経済」そのものを支えていた。それは真実だ。

つまり世界経済そのものがおぞましい歪みを抱えており、それを維持しようとすれば、さらなる社会矛盾とより巨大な破綻をもたらすのだ、という事だが。