善意の技術屋たち

電子政府を襲うチープ革命
http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20080613/egov

例えば、ふたばちゃんねるとかは、手作業で画像化したテキストでやじり合う方式ができあがっていて、本文はキタ―で済んでいるので、ふふんと思っていたのだが…しかし「予告.out」のように、よき市民がワザワザその意味を可視化してくださり、大々的に宣伝してくださったおかげで、画像中のテキストが監視の網に入るのが早まるのではないかと不安になってきた…。

まぁTwitterのメッセージを画像化するツールなどは、すでにあっちゃこっちゃにあるわけで、誰かがそういうコンセプトを程よく焼き直すのは不可避だが、効果的な宣伝と一組にしてやられると…別に自由だけどさ。

せめて総務省が「ソーシャルブックマーク…それはなにかね?」という認識で、この手の善意の技術屋のパフォーマンスを知らず、理解できず、評価できず、対策も応用もできないことを祈る。

彼等の取引先のITゼネコンは、丸投げのしすぎで、社内で開発した技術さえ維持できなくなりつつあり、実際の開発者のもとへ要求がおりてくるころには、技術はさらに陳腐化しており、開発者はせせら笑いながら金のために遅れた技術を形にする。という仕組みが続いてくれれば御の字だ。

だが、参議院内閣委員会の松井孝治議員の質問を聞いて…げげっという感じだった。官僚出身の議員であそこまで切れるとなると、そう安心もしていられない。

というのは、所詮技術というのは属人的なもので「誰がそれをできるか」さえ知っていれば、ITゼネコンの中からさえ優秀な人材を見つけ出して、対策を打てるのだ。その人材が監視に反対したとしても、会社そのものは受注を求めるから、拒むわけにはいかない。

【追記】2008/06/13 ことが大きくなる前に一過性の冗談として忘れ去られてしまうのが一番だ。そっちにも期待しよう。

【追記2】2008/06/13 要するに、殺人予告をほかの用語に置き換えても利用可能な監視システムを嬉々として組み上げたり、その穴をわざわざ言い立てるシステムを組み立てたりするのは、受け入れがたい。だが技術屋というのは、楽しいのだ。それがいわばオッペンハイマー気質だ。分からんでもない。

例えば予告.inの精度を上げるためには、地名、駅名、企業、学校名のデータベースを条件にしてフィルタリングすればいい。ふざけてノイズを入れてるやつは捕まりたくはないから、具体的な固有名詞を書いて威力業務妨害のリスクを負ったりはしない。それとGoogle Maps APIを連動させて一覧表示したり、地域ごとに管轄警察署にメール通知するシステムだったら、高校生でも1週間あれば作れる。

(するとイタズラ側は、**県**市「以外」で犯罪を起こします、といった引っかけ方をするだろうな。佐賀県のときのように。自然言語解析が必要になってくると、おやおや数億円の予算じゃすまないぞ。日本版エシュロンだな。)

まぁ一番大事な機能仕様書だの要件定義書つきで作るやつはいないと願いたいが…事務方のGeekがいなくて助かる…いないと思いたい…。

無償で政府の監視システムに奉仕するな。やめとけ。ネタだと思っても、この「演習」でさまざまな問題点の洗い出しが済んでしまったし、総務省にはそれを書類にできる奴がいるかもしれん。

官僚とITゼネコンの「言われたことしかやらない」「システムの意味は考えない」「あとで使い物にならなくなってもキニシナイ」「要は箱だけあって、予算が落ちればいい」といったお決まりのパターンになれば助かる。そういうお役所仕事の無能さの中にとどまっていれば、危険ではない。
だが事前にシステムを運用してみせて、問題を目の前に突きつけたりすると、厄介になる。

ていうかやる気満々だなぁ…

警察に通報しまくってたら警察がウチまで来てしまった
http://d.hatena.ne.jp/satoru_net/20080613/1213344343

隠れて、ぶつぶつ言うくらいなら、直接言わなきゃな…

id:satoru_net あなたのやってることは国家による監視システムの基礎作りですよ
id:Hamachiya2 あなたのやってることは予告.inに連なる監視システムの盛り上げ係ですよ

といっても、アイデアとか技術の進歩を「規制」するのはな…。
最終的に画像、音声、すべてを監視するシステムができあがってしまう。
技術というのは、そこに注目したり、エネルギーを注ぎ込む人がいなければ、進歩しないものなので、そっとしておいてくれれば。いつまでも停滞したままなんだが…。

すでにある技術を組み合わせただけ、というのは分かる。それでもまずい…。