Vチップ構想についての応答

id:KoshianX 政府規制を牽制するための自主規制というのは、危険な落とし穴だと、私は思う。

Vチップ構想がかつての青環法案に盛り込まれたとき、放送局が頑強に抵抗したのは、一歩でも譲るとそれを踏み台にさらにもう一歩と規制推進派に踏み込まれることを懸念したからだ。その懸念は正しいと思う。

今後、放送局がVチップに類似したものを地デジへ独自に、自主的に導入したとしても、それは法案作成にあたって、踏み台にされるだけだ。ネットにおいてフィルタリングサービスがそうだったように。

すでにそこに規制の道具があれば、規制推進派は「これは便利」とそれに干渉し、制御し、作り変えようとし始めるだろう。

なければ「なぜないんだ」と非難するわけだが…しかし、ないものを作るのには時間も費用もかかり、その過程で交渉の余地がある。だから安易に「規制できる」という姿勢を示してしまうと、かえってテレビもネットの二の舞になる、と私は思う。

規制推進派は、情報処理(制御、検閲)のアイデアと技術、実現力がムダに高いネット利用者のあいだから、テレビ・フィルタリングの話題がのぼってくれば大よろこびだ。

これまでは放送局が、そんなの言論の自由に関して問題が多い「うえに」費用的にも時間的にも引き合いません、とがんばっていれば、議員や官僚がいかに「いや海外ではやってるし」とブツブツ言っても中々通らなかったろう。

ところがネットを利用する白痴の天才どもは、「え?簡単ですよ。ほら作ってみせますね。まずアイ・オーとかのチューナ用ソフトがBML文書の内容に応じて表示制限するようにして…ね?できたでしょ?あとは放送局のほうでBML文書にレーティング情報を書いとくだけですよ。あ、それもやってみせますよ。ほらこうしてこうして…ね?検閲なんて簡単です…ちょっと恐いですよね…えへへ…えとそれが…どうかしましたか?」

とやりかねない。頼むからよせ、というのが私の主張だ。