絶望の闇

誰にもトラックバックをせずに、半ば独り言として書き留めておこう。
こそこそするのは、オメガブロガーの特権だ…。

本当は、
・性や暴力描写や反体制的表現のあるフィクション(小説、漫画サイト)
・いじめや売買春につながるコミュニケーションツール(出会い系、ブログ、SNS
これらをいっしょくたに「有害情報」として規制の賛否を論じるのは無理がある。(二つを分けさえすれば、悪党を押さえ込んで、表現の自由を守る、という方法だって探せたのに)

また0―19歳をまとめて「未成年」でひとくくりにするのも無理がある。(そこを抑えていれば判断力が大人に比べてどうとか言うパターナリズムに、もっと具体性のある反論ができたろうに)

さらにクライアント側のフィルタリングと、サーバー側の削除をいっしょくたにするのも無理がある。(後者がより恐ろしいということを踏まえていれば、より多くを救えたかもしれないのに)

これらの矛盾を無視して、まるごとネット規制法案を批判しても、実は法案作成者の世界観を受け入れているのにほかならないんだよな。その世界観こそが、問題の本質なのに。


サーバー側の削除は不利益だが、
クライアント側のフィルタリングは、成人が自由に作品を作ったり鑑賞したりするには、楽だ。
未成年の知る権利を犠牲にするだけで、大人の自由はたやすく守れる。

一方、未成年の権利を最優先するなら、大人がネットを我慢しなくてはいけない。
大人がメールを送れる相手や、利用できるサービスを極端に制限しまくる。フィルタリングでもなんでもして。
ネットは未成年の解放区にする。そして未成年同士の犯罪(いじめって、未成年の犯罪をそう言うんだよ。名誉毀損とか傷害罪とか)を取り締まる大人の監督者がいればよい。
監督者は後ろに退いて、生徒会のような組織が統治する方がもっといいと思うけどね…。
(しかし教師の性犯罪は顕著に多いのだよな…学校は表ざたにならない未成年同士の犯罪の温床だし…やれやれ…)
とはいえ、社会は常に大人の権利を優先する。
「ネットを未成年の解放区にする?とんでもない!!今やネットはビジネスの要でどーたらこーたら」


15歳でも、低能な私より判断力の高い人間はざらにいる。でも3歳で私より判断力が高い人間がいるというのは、事実だとしても認められない。

15歳くらいなら、自分自身の判断はもうできますよ。立派に働ける年です。とか言っておいて…いや14歳くらいなら…13歳以下でも、十分な自己防衛力ありと判断できれば…という風に段階的に戦っていく手もあった。

パターナリズムの支持者は、自分の判断力に対する信頼が高いだろうし、共感は得られないかもしれないけれど…いや…同じ主張でも説得力がある人がすれば違うか…私はまるっきり、他人の心に感銘を与える能力というのが欠けている。悲しいね。脱線脱線。


「社会が子供を守ってやらなくては」という主張に対して、不愉快になるのは…「けっ、守るといいながら、拘束しようとしてるんじゃねぇか。そんなのターリバーンが女性をレイプから守るといいながら、家に閉じ込めたり顔を隠させたりするのと一緒だよ」と思うからだが。

でもターリバーンがあの布告を出したのは、実際に顔を出して1人で歩いていればレイプの危険があった訳で、かの国に「女は弱いし男より判断力が劣る」みたいな前提があったとしても、とにかく非常に切実なものがあった。

私が人権活動家だとして「女性の自由を奪うな!」といったとする。するとターリバーンの官僚が「じゃぁ、あなたは西洋かぶれの愚かな女性が治安の悪い町中に出かけていってレイプされたりリンチにあったりする自由も認めろというんですか?それが女性を尊重することになりますか」と切り返してきたら…沈黙せざるを得ない。

…それはレイプするやつが悪いんで…と言っても…「そういう事件は多発してるんですよ!」「身を守る力のない女性に自由をなんて主張をするのはレイプの共犯者も同然だ!」と返されたら…もう本当にだめだ。

いつか、ターリバーンの支配地域でも教育によって暴力が抑制されれば、そうした規制も弱まるかもしれない。日本だって、性犯罪者がもっと劇的に減れば、規制推進派だって態度を和らげるかもしれない。

でもそうはならないんだよなー。今、日本の犯罪は過去最低水準で、これよりは下がらないだろうという気がする。
日本は貧しくなる。貧しくなれば犯罪は増える。性犯罪も。
すると、規制推進派はますます態度を硬くする。未成年は自由をどんどん奪われていく。
成人も…。仕方ないのかな…。

ターリバーンが支配していた時代は、貧しくても犯罪は前政権に比べ少なかったと聞く。
安全(Security)が自由(Freedom)に優先する。そういう時代になるなあ。
もう止めようがないなぁ。

あ、ちなみに、フィルタリングだの有害情報の削除だので、
未成年が巻き込まれる犯罪が減るなんて、これっぱかしも思ってません。
ですので、次は未成年の「移動の自由」を制限しようとするでしょう。
まぁそれも、未成年の人口が減り続けているあいだは有効でしょう…。

パターナリズムの支持者は、決して後悔しない、省みない、先へ進むだけです。
それを認めるかどうかは、結局は大衆です。
認めるでしょうね。