全力でフリーライドを減らす中小企業(雇用減的な意味で)

2009年度において、中小企業の53.5%は正社員採用の予定はないとしている。そのうち小規模企業では70.6%が正社員の採用予定なし。何の話かというと、このエントリがらみの話。

TDB景気動向調査(特別企画):2009年度の雇用動向に関する企業の意識調査
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/keiki_w0902.html
帝国データバンクの調査はサンプル1万超で設計もよく、私見では国の調査より精度が高い。主張が強い分析と組み合わさってなんともいいがたい雰囲気があるが。

中小企業で採用予定がないと回答した割合の推移をみると、24.8%(05年度)→30.8%(06年度)→30.3%(07年度)→36.4%(08年度)となっている。小規模に限ってみると、38.4%(05年度)→46.5%(06年度)→45.4%(07年度)→55.2%(08年度)とより傾向ははっきりしている。(中小、小規模の一般的な法律上の定義はこちら)。政府の官僚が自分たちだけキモチよくなるために、いざなぎ超えとかアホなプロパガンダをぶちまいてた時期もさしたる改善はなく、むしろ悪化基調は続いていたといえる。今度の不況はそのダメ押しであっても、根本原因ではない。

なお、非正規雇用についてみると09年度は不況のあおりをうけて正社員よりもっと悲惨だ。雇用形態の置き換えではなく、雇用そのものの縮小が予兆となって現れているのかもしれない。これが完全失業率に跳ね返る日はすぐそこかな。だいたい俺の首がスースーしてるもんな。自営業者だから統計には入らないけどな(カカカカ)。

この状況で「雇用を人質にとって、教育へカネを出させる」キャンペーンを張っても難しいというのはお分かりいただけただろうか。確かに企業内学校をはじめとした企業社会主義の崩壊から、やがて来る新階層社会の勃興までの過渡期において、一時的には中小企業をフリーライダーと非難しうるかもしれない。しかしそれを言い立ててなにか譲歩を引き出し、成し遂げようとするのは、あまりにも過去と未来への見識を欠いていると言わざるを得ない。

法人税収入を増やして教育補助に充てろという運動は、実情からいえば押し通すのが難しいし、やるとしても「これまで通りの雇用」を人質にとろうとするのではだめだ。もしかして、過去に供給された人材について感謝の念をいだき、学校教育にカネを出せとでも訴えるつもりか?