ああ分かった

id:NOV1975 のアレは「反嫌儲主義」という思想が先にあって、ちょっと目にとまった二次創作というものにその思想をあてはめて弾劾したのか。つまり二次創作に興味も愛もなくて、重要なのは、適法にカネにしなきゃ、の方なんだな。過去エントリを読まずに、コメントを付けたのが間違っていた。シグナルはあったのに。つまり「カネにならない文化」「カネが動機にならない文化」を認めろ、というのは「お前の思想を全否定しろ」というのと同義で、彼にとって人格否定にも近い要求になるのか。そりゃ無茶だな。

id:OguraHideo には「実名主義」という思想が先にあって、目にとまった事象にそれをあてはめていく、というのと同じ。

まずNOV1975が「反嫌儲主義」を心底、真剣に、重要に考えているのはなぜなのか、それを理解しなくてはいけない。そのうえで、彼の反嫌儲主義を邪魔しない形で、弾劾の矛先を逸らすようにしないと。またしても「意見を表明しているだけで、押し付けているつもりはない」気持ちで弾劾文を「公開」し、消費者と権利者をせっつくかもしれない訳で…うーんだめだ。難しい。

小倉秀夫弁護士が実名主義にかたむいた理由は、被害をまのあたりにしたからだ。とすれば、NOV1975もまた、なにか抜き差しならぬ実体験から、「嫌儲主義」と疑われるものを撃滅したいという衝動が生じたのだと思う。
そういう「現実」を認識している社会改良家に向かって、ほかの考え方を認めろというのは、笑止千万だ。
故なき妄執というのではない。動かしようのない正義が根底にあるのであって…、他人がつくづくそれを迷惑に感じても、なおかつそれを打ち破って、なしとげなくてはならない理想なんだ。なぜなら信念をなしとげないと…自分よりも他人が犠牲になる、という義務感があるから。

ひるがえってみると正直、私にはそこまで、「個人の自由」という信念を支える心の強さがない。いつも自分で自分を疑い、ためらい、けっきょくひっこめてしまう。
どうして一部のブロガーがあれほど人気を得るのか分からなかったが、今にして思えば、その根幹は信念の強さにあるのかもしれない。
同調者をひっぱり、目にする「悪」を滅ぼすよう仕向け、そしてどんな抵抗にもめげず、最後までやりぬく。

…とても、私には止められない。それを止めるには、同じくらい強い信念を持った誰かでなくては。

宗教者とか主義者の恐ろしさというのを、頭で分かったつもりでいても、心が分かっていなかった。
自分もまた「自由」の主義者になりきれるかと夢想もしていたが、とてもできない。
多くの匿名者もそうだし、二次創作をウェブ公開する人々も、やっぱり弱い。弱いなりに恐ろしいところはあるが。

すべてを決める巨人たちの戦いのゆくえを、固唾を飲んで見守るしかない。

そして、勝負がつくと、そろそろと残された自由を掻き集める。巨人たちの軽蔑に満ちた視線を浴びながら。盗人のように。